ボブ・ディランと犬 N◯VERまとめ

Posted on 2016年6月3日金曜日


ボブ・ディランといえば愛犬家として有名だ。
ボブは動物好きで、様々な動物達と共に写真を撮っている。サラと結婚して家を建てた時は馬に乗ったまま家に入ろうとしてたぐらいだ(叶わず)。
しかしボブといえば「犬」である。
60、70年代は猫と撮影されたものもあるが、犬と佇むボブの写真が多いのはボブが犬好きであることの証明にほかならない。

今回は一人と一匹(後述)の誕生日記念企画。私が集めたボブと犬の画像まとめです。

1990年ボブのアトリエにて 隣にいるのはブルマスティフのブルータス

Happy Birthday Bob!

まずはハッピーバースデイ!
5月24日は我らがボブの誕生日!
遅くなったけど、75歳おめでとう!!

それとほぼ同時に、新譜「Fallen Angels」が発表された。
タワレコなら国内盤が特典付きだが、それもジャケットデザインそのままの四角い缶バッジ。色も暗いし、小さいから絵がよく分からなくて全く有り難みがない(でも一応キャスケットに付けた)。

ボブにはいつまでも創作意欲のあるアーティストでいて欲しい。
私の予想では、今年中にオリジナル曲で構成されたアルバムがアナウンスされるのではないかと。理由は「ほぼ4年ごとにオリジナルが発表されている」という例のデータからだが。まぁ、あれも実際はかなり幅のある話だし、根拠はない。

Fallen Angels のレビューはまた後日に。

犬も買ったそうです

実は24日はボブの誕生日だけでなく、こいつの ↑ の誕生日でもありました。
こちらは1歳に。人でいうなら17歳ぐらいらしい。
おめでとう1歳!

そんなわけで今回は特別企画です。

トップに載せたストライプ柄パンツのボブと、ブルマスティフの写真は特に私のお気に入り。
1990年、場所はウッドストックのスタジオ。David Michael Kennedyによる撮影だ。1990年と言えば Under The Red Sky を発表した年である。
隣の犬はブルマスティフという犬種。
ブルマスティフとはブルドッグとマスティフの交配種(だと言われているだけで証拠は残っていない)で、19世紀から邸宅や農園の番犬として活躍していたそうだが、犬種として認められたのは1924年と最近。イギリス原産の犬で、オスなら60キロになるものもいるという。


1968年 雑種犬
雪の中で犬と遊ぶボブ。ボブは手袋を使って遊んでいる。犬はあまりに楽しくて思わず寝転がってしまったのだろう。お腹を出しているのはボブに心を開いている証拠だ。
撮影は Elliott Landy 。Nashville Skyline のカバー撮影のために、ウッドストックのスタジオの外でボブの飛んだり跳ねたりする写真をいくつも撮っている。これもその間に撮られたもの。




1970年 コリー
あれ!?二匹いる!?
お前、何モグモグしてんの??
撮影はJohn Cohen。
この犬とのショットはいくつも残っているが、名前は分からない。撮影用の犬だろうか?しかし正面から優しく頭を撫でる光景に、犬との絆を感じる。
コリーという犬は元は牧畜犬で、羊や牛を追う犬である。穏やかで人との共存に向いている一方、使役犬として本来持っている体力を持て余さないよう十分な運動が必要である。
名犬ラッシーでも知られたように飼い主に忠実であり、バイタリティーに溢れた若きボブにピッタリなワンコだ。

背景に注目


1975年 ビーグル

1975年10月、ローリングサンダーレヴューの最中に撮られた写真。場所はマサチューセッツ、ノースファルマスのホテル。ローリングサンダーレヴューの記録を撮っていたライターのラリー・"ラッツォ"・スローマンは、ボブの母に会い、ボブの子供達のベビーシッターをしながら、彼の犬を散歩までさせていたという。
撮影はKen Regan。このブログのトップ「肩肘をつくボブ」も同じホテルで彼が撮影したものだ。

ツアーのラストNight of Hurricane の集合写真。NY マディソンスクエアガーデンにて
 隣で電話をしているのはクリス・オーデル


1983年 野良犬?
1983年、Lynn GoldsmithはNYでボブの写真を多く撮影している。これはそのうちの一枚。
傍の犬は、この写真にしか登場しない。見たところ首輪もしていないし、もしかしたら野良犬かもしれない。犬とボブの微妙な距離にも納得。


1985年 ブルマスティフのブルータス
1985年、カリフォルニア、ズマビーチにて。
ブルータスはこのブログ記事の最初の写真で紹介した犬である。
この写真の左側に日本語の告知のようなものが見える。何に掲載された写真なのか分からないが、どうやら Infidels の発売を知らせるもののようだ。David Michael Kennedyによる撮影。

ボブがキャサリン・ヘップバーンに宛てた手紙

上の手紙はボブが隣人だったキャサリン・ヘップバーンに書いた手紙。

 

 親愛なるキャサリン・ヘップバーン様

私の娘があなたの隣の借家で卒業パーティーを催しています(犬のいる家です)。時間は7時半から10時。もしお立ち寄りになれるのでしたら、他の誰よりも歓迎します。
                              ボブ・ディラン



残念ながら、彼女はパーティーに来なかったらしい。しかしボブのツアーマネジメントをしていたヴィクター・メイムーデスの著書(共著)「Another Side of Bob Dylan : A Personal History on the Road and off the Tracks」によると、彼女はこのブルマスティフのブルータスを気に入っていたようだ。ブルータスはキャサリン宅の花壇にいつも座っていた。160ポンド(72キロ)の犬が花壇に寝転ぶのではとキャサリンは心配していたが、ブルータスは決してそうはしなかったという。ブルータスはキャサリンの花壇をトイレにしていた。著者は「庭の肥料のせいだろう。もしかしたらブルータスは糞で肥料の助けをしたかったのかもしれないし、あるいはそこにいつも糞があるので、自分もそこでするのが当然だと思ってたのかもしれない。彼女がやってきてあの甘い声で私を呼べば、ブルータスが糞をしたのだと分かって即座にビニール袋を掴むようになってたよ。 なぜなら彼は5ポンド(2キロ)ものうんこをしたはずだからね。この犬はそれだけのうんこをする犬だった。これがもし小さな犬なら彼女は気にもしなかったのだろうが」と、書いている。


1993年 ジャーマン・シェパード
この一連の画像は、1993年にリリースされた World Gone Wrong に収録されている Blood In My Eyes のPV撮影時のもの。場所はロンドンのカムデン・タウン。写真撮影は、PVを撮ったデイヴ・スチュワートの友人Ana María Vélez Woodによる。
連れているのはジャーマンシェパードだろう。
シェパードは牧畜犬として近代になってから作出された犬で、今は警察犬や警備犬としておなじみだが、実はこの犬、もともとは立ち耳ではないと知っているだろうか。
シェパードの子犬は垂れ耳である。生後2ヶ月頃になると「断耳」と言って耳介を一部を切り取り、副木を当て包帯で巻き耳が立つよう固定する。このような断耳を行う犬種は多く、グレートデーン、シュナウザー、ドーベルマンなどが有名だ。なぜこのようなことをするかというと、過去は「攻撃を受けた時などに耳を狙われないよう」「威嚇のため」という理由があったそうだ。今では「伝統を守るため」だけに行われることが多く、それでは人間の勝手ではないかと断耳に反対する人も多い。
同じような行為として、断尾と言われるものもあり、こちらは狩猟犬や闘犬が尻尾を痛めないように短く切るというものだ。断尾は生後数日で行われるため、ペットショップなどで子犬が販売される頃にはすでに短くなっている場合が多い。日本では人気のトイプードルも断尾をする犬種である。


2001年 ジャーマン・シェパード

2001年8月21日、コロラド、テルライドのタウンパーク。
撮影はローリングサンダーレヴューの時期に「ビーグルとボブ」を撮ったKen Regan。
この写真はツアーでコロラドを訪れた際、コンサートの前の散歩に出かけたボブが休憩を取った時に撮られたという(ほんまかいな。めっちゃキメてるやん)。
連れているのはシェパードのようだが、やや痩せている。顔の黒い部分が多いことから、93年にPV出演した犬かもしれない。だとすると10歳ぐらいだろうか。大型犬で10歳といえばかなりの高齢ということになるだろう。ボブの相棒として、長くツアーに同行したのかもしれない。

同年11月ブルックリン
移動遊園地にある「世界一小さな女性」のポスターに描かれたセントバーナード
撮影はDavid Gahr

2013年 イングリッシュポインター?
 2013年に発表されたボブのアイアンアートのひとつ。
タイトルは「無題8」。
中心にある犬のシルエットが印象的だ。頭が小さく、尻尾が細く、毛の短い垂れ耳の犬であることから、イングリッシュポインターではないかと言われている。もしかしたら今はこのような形の犬と暮らしているのかもしれない。

拡大

まとめ
さぁて「愛犬家ボブ」の姿を堪能していただけただろうか。
全体を見渡してみて思うのは、ここに撮影用ワンコはほとんどいないということだ。写真に写っている犬とボブの様子からは、とても強い絆が感じられる。写真からは、ボブが中型犬以上の活発な犬種を好んでいるということ、ツアーに犬を同行させていることも分かった。2001年以降の犬との写真は見つかっていないが、ボブのことだ、おそらく今でも犬と暮らしているだろうと思う。




いつか猫との写真もまとめるね。


【関連記事】







ドラマ「重版出来」とボブ・ディランの意外な関係

Posted on 2016年4月26日火曜日


先日、テレビで『重版出来』という新ドラマを横目で見ていたら、冒頭のシーンで馴染みのあるメロディが流れた。
私はすぐに画面を凝視してしまった。ボブの歌のメロディにそっくりだったのだ。
すぐにこれは「風に吹かれて」のアレンジだと気付いた。

「風に吹かれて」は頻繁に、節操もなく日本のテレビで使われてるし、ボブは絶賛ジャパンツアー中。
なんの不思議もない(ことも無いが)。
でもその曲はすぐ珍妙な展開で全く別の曲になっていった。

ネットで調べてみると、どうやらユニコーンの「エコー」という曲で、ドラマの主題歌であると分かった。
ドラマを最後まで見ると、大団円すると同時に主題歌が流れてきた。
クリソツなのは最初のAメロだけ。
最初は嫌でも日本語歌詞で歌われた「風に吹かれて」かと思ってしまうレベル。
しかしすぐに別の曲だと分かる。

分かったところでなんだか腑に落ちないのは、どんな意図でその曲に「風に吹かれて」のメロディラインが使われているのか全く不明だからだ。「風に吹かれて」っぽい曲でもないし、ボブ・ディランっぽい曲でもないし。

まーでも、ボブの曲自体、元ネタがあるのだ。
ボブはサンプリングが好きだし、フォークはそもそも伝承や黒人霊歌から作られてきた。
ボブは長く曲作りにその手法を取り入れ(というか開き直り)、数々のパクリ名曲を生み出してきた。「風に吹かれて」はその一つに過ぎない。


「そのひとつに過ぎないのです!」

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4/12のライブレポ in 大阪フェスティバルホール③

Posted on 2016年4月19日火曜日


九州で被災された方にお悔やみとお見舞いを申し上げます。
幸いにも、私の祖父母、親戚、猫たち、友人は怪我もなく無事でした。揺れが減りテレビで報道される頻度も減ってきました。しかし被災された方々の震災は、これからが本番とも言えるでしょう。物資、避難所のプライバシー確保、片付け、家の再建などは多くの助けがなければ達成されません。
安心して暮らせる日々が一刻も早く戻るよう、日本全国で支援していかなければと思います。

◇◇◇

今回もライブレポです。

①グッズ編②前半の続きになります。

一曲一曲、本当に覚えてるのかって?
いやー、正直覚えてないですよ。笑
だから覚えてることだけ書いてます。その間に気づいたこととか、思い出したこととか。
もちろんメモとか取ってないから、勘違いもあるかもしれません。
ボブが何回飲み物を飲んだか、とかね。

それでは後半戦にお付き合いくださいm(*_ _)m

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4/12のライブレポ in 大阪フェスティバルホール②

Posted on 2016年4月18日月曜日

熊本地震で被災された九州の方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。

私にも熊本に住む祖父母、親戚、福岡に住む友人らがおります。
一刻も早く復旧し平穏な日々が戻るよう、私も遠くからですができるだけ支援していきたいと思います。


さて、今回はライブレポ①の続きです。
前回はグッズの話で終わってしまったので、今日はちゃんと楽曲のレポをやります。

一昨日は名古屋、明日からまた東京、そして千秋楽は横浜と、まだ8公演も残っています。
これからライブへ行かれる方へボブとバンドの世界観を堪能するための一助になれば。
(これからのコンサート日程はオフィシャルサイトで)


4月12日@大阪フェスティバルホール②


最初に、この日のボブを見て私が何を感じたか、言っておこう。

このライブはもはやボブ・ディランのライブではない。
ボブ・ディランという男がボーカルを務めるひとつのロックバンドのライブなんだ!

ってことだ。

全ては2012年頃まではボブが続けていた「日替わりセットリスト」をやめたところから始まっていると思う。
「日替わりセットリスト」というのは一見すると凄いことなのだが(楽曲が無数にあるから)、いわばそれは「昔のヒットソングを歌う往年の名歌手」がすることであり、ボブ自身が自分の存在について迷っていたことの証拠でもあったかもしれない。
自分は往年の歌手か、それとも現役か、と。

これは私が連れとライブの後で歩きながら話したことだが、「ボブ・ディラン&ヒズ・バンド」という「バンド」はひとつの世界観を作ることに成功し、もはや「ボブ・ディラン」を表現しているわけではないのではないか、ということだ。
固定リストに文句を言うのはもうやめようと思う(でもやっぱり3年も同じ曲を歌うなんてクレイジーだと思う)。

この夜のライブはそこまでたどり着くことができたライブであったし、なによりボブとバンドマンたちの演奏にすっかり納得してしまったからだ。

そういえば、ボブはその昔グレイトフル・デッドに入ろうとしていたが(笑)、バンドで音を作り上げることに憧れていたのだろうか。
それはすでに達成されたと思う。


具体的な楽曲レビューは以下。
まずはこの日のセットリストから。


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4/12のライブレポ in 大阪フェスティバルホール①

Posted on 2016年4月15日金曜日


先日4月12日、大阪フェスティバルホールでボブ・ディランさんを拝んできました。
はぁ…ありがたやありがたや。

ってなわけで今回はライブレポです!

日記調です!!


4月12日@大阪フェスティバルホール

今回足を運んだのは大阪公演の二日目。

私にとっては5回目のボブだ。
2010年に2回、2014年に2回、ボブのライブに行った。
しかし今回はこの日のチケットしか取っていない。
理由は言わずもがな。
チケットがバカ高いからだ。

このチケットの値段はあり得ないと思う。
これでは若い人がボブ・ディランを見に来れないではないか。
実際、会場の平均年齢は高かった。ライブハウスで行われたときには一定数いた若者(2、30代)が極端に少ないのだ。今回はみんなが「座れる」おかげで足腰に不安を覚えるファンたちが集えたのは喜ばしいことだが、若者が来ていないのは値段が「高い」からに他ならない。こんな理由で「ボブ・ディラン」を若い人たちに見てもらえないなんて、もったいないとしか思えない。
いくらレジェンドとはいえ、東京ドームのストーンズが18,000円だったわけだから(うろ覚え)、バンド人数や会場規模のこと考えたら、やっぱり高くないか?

私も昨年から腰を痛めていたので、今回のホール開催はありがたかった。
今ライブハウスのスタンディングで見ろと言われるのはかなりキツイ。諦めたかもしれない。
ボブ・ディランを長く追いかけているファンなら、中年はもちろん、ボブぐらいの年の人も多い。会場にはボブより年上だろうと思われる人もいた。車椅子で来ている人も多く、一階真ん中の通路には専用台が設置されていた。劇場の車椅子専用スペースというのはよく隅にあったり、前過ぎる場所にあったりするが、あそこなら演奏も快適に見えただろう。

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マール・ハガード死去

Posted on 2016年4月8日金曜日


ボブ・ディランが来日中です。
東京三日目のセットリストは二日目と全く同じ。

4月6日はこれまでの三日間の中でベストと言ってる人がいた。
連日変わらず出来がいいのは Duquesne WhistleMelancholy MoodPay In Blood の5〜7曲目のようだ。
「4日の Duquesne Whistle が最高」という感想や、5日のショーでは曲と曲の間でドリンクを飲むことが多かったらしく「病気じゃないよね?」と心配する声、「ディランの声はセンセーショナルだがこのセットリストは100回聞いた(※固定リストのことですね)」とがっかりする人と、印象は様々だ。

さて、あなたのディランは?

次の公演は4月9日宮城。




6日、カントリー界の伝説マール・ハガードが亡くなった。死因は肺炎による合併症。
79歳の誕生日だった。

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