In A Turkish Town

Posted on 2014年6月22日日曜日




夏のヨーロッパツアー、次なる国はトルコのイスタンブール。
5000人以上を収容するBlack Boxという会場で行われた。 
セットリストは相変わらずだが、先日のコーク(アイルランド)では妙なことが起こっていたためやはり目が離せないのがネバーエンディングツアーだ。

実は、トルコとボブには深い関係がある。
ボブは自伝の一作目で自身のルーツにおける重要な事実を明らかにしている。

「祖母はロシア南部の港町、オデッサからアメリカにやってきた。オデッサはデュルースに似ていなくもない町で、気温や気候や風景が同じで、どちらも水辺にある。
 もともと祖母はトルコの出身で、(中略)オデッサにやって来た。祖母の一家はアルメニア国境に近いトルコのカギズマンという町に住んでいて、一家の名はキルギスだった。祖父の両親も同じ地方の出身で、そこでは大半の人が靴づくりや皮革加工に従事していた。
 祖母の祖先はコンスタンティノープルに住んでいた。わたしは十代のころ、「神秘的なトルコ人と空の星」という歌詞のあるリッチー・ヴァレンスの「イン・ア・ターキッシュ・タウン」という歌をよく歌っていた。その曲の方が、みんなが歌っているヴァレンスの「ラ・バンバ」よりなぜか自分に合うような気がした。母にはトルコ人(Turk)という苗字のネリー・タークという友人もいて、わたしが子どものころ、彼女はいつもそばにいた。」
( Bob Dylan " Chronicles Volume One " 菅野ヘッケル訳  pp.114-115 )

カギズマン(Kağızman)はトルコ北東部のカルス県にあり「キャウズマン」「カウズマン」などと発音するようだ。

ボブのルーツがカルス県にあることを知ったトルコの新聞では、地元カルス県に取材しキルギス(クルグス)姓を探すということを試みたらしい。

トルコの新聞記事に詳しいこちらのサイトでその内容が分かる。 

カルス県の人々はボブに地元でコンサートを開いてくれることを切望しているが、残念ながら実現には至っていない。

ボブは1989年と2010年にそれぞれイスタンブールで一回ずつライブを行っている。トルコでの公演は今回で三度目だ。

           Istanbul, Turkey 
         Black Box Istanbul 
                             June 20, 2014  

1. Things Have Changed (Bob center stage) 
2. She Belongs To Me (Bob center stage with harp) 
3. Beyond Here Lies Nothin' (Bob on piano, Donnie on electric mandolin) 
4. What Good Am I? (Bob center stage, Stu on acoustic guitar) 
5. Waiting For You (Bob on piano) 
6. Duquesne Whistle (Bob on piano, Tony on standup bass) 
7. Pay In Blood (Bob center stage) 
8. Tangled Up In Blue (Bob center stage with harp then on piano on 4th verse, Stu on acoustic guitar) 
9. Love Sick (Bob center stage with harp)
 (Intermission) 
10. High Water (For Charley Patton) (Bob center stage, Donnie on banjo) 
11. Simple Twist Of Fate (Bob center stage with harp) 
12. Early Roman Kings (Bob on piano, Tony on standup bass) 
13. Forgetful Heart (Bob center stage with harp, Donnie on viola, Tony on standup bass) 
14. Spirit On The Water (Bob on piano) 
15. Scarlet Town (Bob center stage, Donnie on banjo, Tony on standup bass) 
16. Soon After Midnight (Bob on piano) 
17. Long And Wasted Years (Bob center stage)    
(encore) 
18. All Along The Watchtower (Bob on piano) 
19. Blowin' In The Wind (Bob on piano, Donnie on violin)


固定セットリストもここまで来ると、これはもうボブの「超お気に入り」だと断言しても良いだろう。

やはり人によっては「往年の曲が聴きたかった」と残念がってる人もいたが、「ボブ・ディランを聴いた」という達成感は多くの人にあったようだ。
ちなみにイスタンブールではコークで起きた現象は確認されていない。胸像もダンサーも登場しなかったようだ。

冒頭のForgetful Heartは「これでもか」というほどスローテンポで、なかなかメロウな味のある仕上がりである。ぐずる赤ちゃんもこれでスヤスヤと眠ってくれるハズだ。

会場
最前列からの眺め

座って観るボブも良いなぁ。
いつか座って観たいもんだ。スタンディングは腰に来る。



おまけ
In A Turkish Town - Ritchie Valens

Discussion

Leave a response