フレドリク・ウィキングソンという男①

Posted on 2014年11月29日土曜日


2014年11月23日、フィラデルフィアで行われたボブ・ディランのライブの観客はたった一人だった。
ステージを見つめ涙ぐむ男。
この男こそフレドリク・ウィキングソンである。

知らんよ。
誰だよ。

世界中のファンが「なに様だこいつ」という気分にさせられたこの事件。
いまいちピンとこないんだが、とあるプロジェクトの一環だったらしい。

     Philadelphia, 
  Pennsylvania Academy Of Music 
           November 23, 2014
  
  1. Heartbeat (song by Buddy Holly)   
  2. Blueberry Hill (song by Fats Domino) 
  3. It's Too Late (She's Gone) (song by Chuck Willis) 
  4. unknown blues song?

男もだが、セットリストも興味深い。
ロックとブルースの先達へリスペクト溢れるクールな選曲だ。

一曲目
Buddy Holly - Heartbeat


バディ・ホリーはメガネのロッカー。
その一見平凡ながらも独特なキャラクターは「ロックやっててもメガネかけていいんだ!」とジョン・レノンを安心させたと言われるほど、後のロックやポップスシーンに影響を与えた。
なんでも楽曲著作権はすべてポール・マッカートニーが買い取ってるらしい。
お、おう!ポール、お疲れ…!!

最近知ったんだが、バディ・ホリーはTシャツ界でも有名らしい。
彼の穏やかで小粋なメガネスタイルは白いTシャツによく映える。
「舌出し」がローリングストーンズって人たちのアイコンだとか、チェ・ゲバラが政治家で日本にも来たことがあるとか、そんなことはTシャツ界を生きる若者には関係無い。バディ・ホリーもそんな若者たちに「ウォーリーを探せ」か「クラーク・ケント」くらいの感じで認識されているのだと勝手に思う。

Heartbeat を始め、バディ・ホリーの曲はシンプルなものが多い。
その分、多くのアーティストにカバーされてきた。
ボブがどのように歌ったのか気になって夜も眠れない。


二曲目
Blueberry Hill - Fats Domino



ふははは、ファッツ・おデブ・ドミノとは俺のことよ。
ここまで「見たら分かる」名前を付けた人も珍しい。
1950年代のロック、R&Bのヒットメーカー、ファッツ・ドミノ。私はあまり詳しくないのだけど、2005年ハリケーン・カトリーナでニューオーリンズの自宅が浸水し、一時行方不明になっていると報道されていた。もちろん無事に救出が伝えられ、86歳の今もご健在である。

ジョン・レノンやドクター・ジョン、エルトン・ジョンなどがファッツを歌ったトリビュート盤も出ていてこちらも興味がそそられる。しかし現在は品薄なようだ。

「偉大なる足跡~ファッツ・ドミノ・トリビュート・アルバム」


「ぼくもデカすよ」は私史上もっとも無視できない邦題の一つ。
(原題は「I’m Gonna Be A Wheel Someday」



三曲目
It's Too Late (She's Gone) - Chuck Willis



どうせ「チャック・ウィリス」と日本語でYouTube検索しても「チャック・ノリス」と「ブルース・ウィリス」のせいで『エクスペンダブルズ』の予告編がヒットするご時世である。知ってる人は少ないだろう。
実は私も名前だけで詳しくは知らなかったんだけど。

1958年に30歳という若さで亡くなったロック・R&Bシンガー。
1956年発表の「C.C. Rider」が大ヒット。
「ストロール」と呼ばれるゆったりとしたダンスに合わせた曲が得意だったためキング・オブ・ストロールと呼ばれる。
「ストロール」って…何だ?
stroll って「ふらつく」とかいう意味だよね。
あれか、1950年代のホールでフラフラ踊ってるイメージか。肘を脇につけて拳を握って横に揺れたりしてうふふみたいな女の子がたくさんいる…映画とかでなら見たことあるね…。


見つけてしまった。当時の映像。
想像してたよりちょっと妙だが、ま、まぁいいか。
なるほど勉強になるな…(ちなみにサイドの列の横揺れしてる動きがいわゆる「stroll」のようなので私のイメージはあながち間違っていなかったみたいだ)。

チャック・ウィリスの曲はバディ・ホリー(It's Too Late)、エルヴィス・プレスリー(Feel So Bad、C.C Rider)など多くのシンガーにカバーされ、その影響は根強く残っている。
It's Too Late はエリック・クラプトンもデレク&ザ・ドミノス時代に歌っている。




四曲目
unknown blues song?

ボブがいったい何曲歌ったのかも分かっていないのだが、得られる情報では4曲である。
4曲目は謎のブルース。
知られていない曲?
ボブのことだからマニアックなやつを歌ったのかもしれない。

ますます謎が深まっていくプライベートライブ。全貌を明らかにすべく筆を取ったのだが、セットリストの話ついでに「ストロール」や「ハンドジャイブ」の勉強をしてしまい、脳内が少しずつボブと関係ないところまで来てしまった。
疲れてきたので「フレドリク・ウィキングソン」について書くのは次回にしようと思う。

タイトル詐欺になってしまって申し訳ない。

それにしてもなぜ、ジャッキーの記事がview数を伸ばしているのだろう。
これも謎だ。

つづく

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