寂しい私
Posted on 2014年5月15日木曜日
先日、唐突にbobdylan.comにボブの歌う"Full Moon and Empty Arms"の音源が出現しました。
まず目に入るのがこのイメージ。なんだかおしゃれ過ぎてボブらしくないですね。しかも使われている写真は若干古い気が…。このアートワークはブルーノートのジャケットデザインで有名なリード・マイルスを意識していると思われます。
bobdylan.comでは現在これをクリックするとボブの歌のページに移動します。
"Full Moon and Empty Arms"はBuddy KayeとTed Mossmanによる1945年の作品。フランク・シナトラが歌いスタンダードソングになりました。その後、多くのミュージシャンにカヴァーされた名曲ですが、元になっているのはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(Piano Concerto No. 2)だそうです。
私はこの曲を聴くとユーミンの「corvett 1954」を思い出します。
この歌にも似た旋律が使われている箇所があります。
邦題は「寂しい私」。
ちょっと身も蓋もない感じですが、満月の輝く夜に側にいない恋人を想うロマンチックな歌詞です。
"Full Moon and Empty Arms"
Full moon and empty arms
The moon is there for us to share But where are you?
A night like this could weave a memory
And every kiss could start a dream for two
Full moon and empty arms
Tonight I'll use the magic moon to wish upon
And next full moon if my one wish comes true
My empty arms will be filled with you
さて肝心なボブバージョンですが、これが…とっても良い!!
シナトラともまた違い、前作『テンペスト』では消えていた甘さのある声が美しい。
スポークスマンが明かすところによると、この曲は今年発表されるだろうボブの新アルバムに確実に入るようです。
海外のファンたちの反応はさまざま。
ゲリラのように現れたボブの歌声にパニックになったとも。
「素晴らしい!」
「この曲大好き!」
「もう何度も聴いてしまったよ!」
「すると次作はオリジナル曲のないカヴァーアルバムになるのかな」
「いや、夜をテーマにしたコンセプトアルバムになるのかも」
「オリジナル曲じゃないなんてガッカリ!!」
などなど。
かくいう私ももう20回ぐらい聴いてしまいました。
ファンのもう一つの話題は「なぜ今、時代を懐古する必要があるのか」ということ。
殺菌消毒されたような当時の人気音楽を、反逆を繰り返して来た(とされる)ボブ・ディランが歌うということは一体どういうことなのか。
ロックという音楽が成長をやめ、魅力を失っているからなのか。
それともただ、ラジオ「Theme Time Radio Hour」の延長のようなものなのか…。
中には新曲のための創造力が衰えてしまったのではないかと心配する人もいます。
しかし、ボブの創造力を疑うのは早計でしょう。
ボブが古き良きアメリカ音楽に造詣が深く、しかも雑食であることはよく知られています。
真意が次作で明かされることを期待するしかありませんね。
シナトラの命日である5月14日の前日に発表された"Full Moon and Empty Arms"。
何だか「準備万端」という感じがします。
私としてはボブがアメリカのクラシックなポピュラーソングカヴァー集をリリースしても驚きません。
私たちファンの方こそ、この宣伝で準備が出来たのではないでしょうか。
Full Moon and Empty Arms
ボブとの聴き比べも楽しい!!
グリニッチ・ヴィレッジにフォークが響いていた頃―デイヴ・ヴァン・ロンク回想録 60年代、ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジで巻き起こったフォーク・リヴァイヴァル・ムーヴメント。その中心人物の一人であり、若きボブ・ディランの憧れの存在でもあった伝説のミュージシャン、デイヴ・ヴァン・ロンクが、いかにしてムーヴメントが始まり、全米の若者を熱狂させ、そして収束していったかを振り返る回想録。スターになる以前のディランやジョニ・ミッチェルとの出会い、ウディ・ガスリー、ミシシッピ・ジョン・ハートらベテラン・ミュージシャンたちとの交流……。アメリカ文化が大きな変革を迎えた時代の興奮が生き生きと伝わってくる、フォーク・ミュージックの貴重な音楽史的・社会史的記録。 コーエン兄弟が監督した映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』のベースともなっている。 ●本書に登場するミュージシャン ボブ・ディラン フィル・オクス ジョニ・ミッチェル ピーター、ポール&マリー サイモン&ガーファンクル ジョーン・バエズ ピート・シーガー オデッタ ウディ・ガスリー レヴァランド・ゲイリー・デイヴィス ミシシッピ・ジョン・ハート ほか多数
返信削除paさん!閲覧ありがとうございます。しかも唐突に本の紹介まで^^ そちらの本については映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』観賞後に一緒に記事にするつもりでいます。映画も超楽しみです!
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