日本よ、これがボブだ 完訳
Posted on 2014年12月22日月曜日
キ・キターーーーーーーーー(゚∀゚)!!!!!
11月23日、フィラデルフィアで行われたボブのプライベートライブの一部が先日YouTubeで公開された。
ここ数年のボブ・ディランのライブ映像が公式で出ることは極めて稀である。
だから「ボブ・ディラン?あーあの伝説の。え?まだ活動してんの?」とか思ってる人はライブDVDとか出ないからとにかくこいつをチェケラ!!!
最新のボブ・ディランだからね!
ボブのライブはスウェーデンの「普段はみんなで一緒にやることを一人でやったらどうなるの?楽しいの?」という謎プロジェクト「エクスペリメント・エンサム」の一環で行われた。
さぁ貴重なボブの一挙一動をじっくり見て欲しい!!!!
と言ってもメインはフレドリク・ウィキングソンだけどな。
※ボブの登場は4分50秒あたりから。
今回は英語字幕が付いていたから内容の和訳に挑戦した。
意訳、誤訳の嵐だろうけど、私の英語学習に付き合ったつもりで適当に読んどいてください。
この映像の公開と同時に不確かだったセットリストも明らかに。
リストは後半で。
Experiment Ensam
フィラデルフィア、ペンシルバニア
フレドリク・ウィキングソン(以下フ)「ここはこの人が僕のための小さなギグをしてくれる場所さ!」
ナレーション(以下ナレ)「我々は誰かと一緒の方がより楽しめるのだろうか?このシリーズでは一人きりで社会的活動を行うとどうなるのか、その意味を明らかにします。」
男「カラオケをするつもりなんだ」
店員「ひとりで!?」
ナレ「これまでのところ、答えはイエスです。我々は他人と一緒だとより楽しいのです。」
女「すごいわ!さぁ切り続けて!」
ナレ「さぁ、最後の試験です。究極の実験、ボブ・ディランのコンサート。」
オープニング
〜我々は誰かと一緒だとより楽しめるか?〜
フ「僕はコレだ!と思いたいんだ。僕の人生の中で5本の指に入る最高の時間にしたい。二人の子供がそれぞれドカンドカンときて、ディランでドカーン!だよ。僕はこれまで20回は彼のライブを見てきたけど、今回は彼が僕を見るかもしれないんだ。それだけでクレイジーだよ。」
グリニッチヴィレッジ、ニューヨークシティ
フ「ニューヨークに滞在するたびグリニッチ・ヴィレッジに行くんだ。彼はこの辺をどんな風にして歩いたんだろうか、なんて考えるんだ。何度もここに来て、何度もそう考えたことはあるけど、自分が彼のライブのたった一人の人間になるなんて考えたことがなかったよ。
20年間の僕の人生の中でディランだけが唯一不変のものだった。誰かが20年前の僕に、ディランが僕のためだけにライブをやるだろうなんて言ったら…ありえない!あるはずがない!」
Malin EDLUND 心理学者
Malin(以下M)「フレドリク、ショーが始まるまであと45分よ。あなたは長年のファンだから、この実験はこれまでのものとはちょっと違ったものになるわ。」
フ「すでにシュールだよ。僕は何回も彼のライブを見たし、友達とも行くんだ。彼はときどき変なバージョンで歌を歌うんで、そんなときは誰かが囁くんだよ、“彼はレゲエのビートで Changing Of The Guards をやったのか?”って。あとでそういうのを時間をかけて話し合うんだ。“あのIt's All Over Now Baby Blue のハーモニカソロは66年代と同じぐらい良かったな”とか。それは大事な時間だよ。起こってることを人と共有するって…」
M「…意味がある?」
フ「そう、それで、今は奇妙に感じてるんだ…」
M「一人で座ってることが?」
フ「本当にすごく変だよ。気分が悪いとさえ言える。こんなギリギリな瞬間を味わったことはない。もしディランが僕に気づいて、それで僕の方を向いたりしたら、とにかく人生変わってしまうだろうね。
・・・・
素晴らしい劇場だった。入ると、すごいご馳走みたいだって思ったよ。ここはこの時のために建てられたんだって思うぐらい。何も言われないまま5分ほど座ってたら、誰かがステージに入ってきた。チューニングをしにきたバンドかと思ったら、そこにいたのはディランだった!」
(ボブ登場)
Heartbeat
フ「彼らはバディ・ホリーのハートビートを演奏し始めた。若いころよく彼の音楽を聴いたよ。ディランのハートビートは聴いたことなかったけど、彼もバディ・ホリーがとても好きなんだってことは知ってる。
・・・
曲の後、静まり返っているのは変だったから、僕が拍手をしたんだ。でも、逆にすごく奇妙な感じだった。誰も僕を見ないし、本当に変な気分だったよ。彼らにバカじゃないかと思われたか、皮肉かと取られたかもしれない。次に、彼らはファッツ・ドミノのブルーベリー・ヒルを始めた。物憂げなアレンジだった。」
Blueberry Hill
フ「この曲も僕の長年のお気に入りなんだ。それからディランは立ち上がった。先の二曲はピアノに座ってたんで、彼は立ち上がって三曲目を始めたんだけど…確か Too Late か You're Too Late って曲だったと思う。ちょっと分からない。誰かの曲のカバーだろう。」
You're Too Late
フ「それから彼はハーモニカを出して、吹き始めた。どうしてこんなに力強いのか本当に不思議だよ。感情が洪水のように押し寄せてきた。泣くなと言われるほうが無理だった。
・・・
それで、僕はそうしなければと思って、自分に聞こえるぐらいの声で叫んだんだ。
“君たちは素晴らしいよ!それが言いたかったんだ。”
ディランは “ああ” と言うように笑った。なぜかわからないけど、彼が笑ったんだ。ある意味、僕たちは繋がった。そのあと、彼らは違う曲をやり始めた。僕の知らない曲だったけど、とても好きな感じだった。何かは分からなかったけどね。」
Key To The Highway
?「来てくれてありがとう!」
フ「こちらこそ、本当にありがとう!」
ボブ「またいつでも来てくれ」
フ「みなさんお元気で」
・・・
フ「…ワオ!!!ずっと二ヤケっぱなしだったから、顎がもう限界だな。彼が僕に話しかけたんだ。なんてすごいんだ。もう子どもみたいな気分だよ。彼がハーモニカを演奏した時は、終わりが近づいてるんだと思った。たとえ彼でも…それは特別な何かなんだ。でも彼はそうしなかった。僕はとにかく…。とにかく完璧な時間だったよ。完璧な。」
二週間後
M「久しぶりね。もう現実世界に戻ってきた?どんな気分?」
フ「僕の一部分は戻ってくることを嫌がってるみたいだ。数日間はほとんどハイな気分だったけど、今は自分の中に居心地のいい小さな場所を、僕のボブ・スペースを見つけたんだ。そう、僕の “フィラデルフィア&ボブ・スペース” だよ。」
M「あなたは、彼があなたに注意を向けていることを意識していたのか覚えてる?」
フ「それは、言葉にするのは難しいけど、最初の曲が終わって拍手した時はハッキリしてた。バカみたいだったから、すぐやめたけど。」
M「あなたは意識し始めた。」
フ「僕は一部だったんだ。99%の出来事はステージで起こってたんだけど、僕の拍手もライブと彼らが反応するだろう何かの一部だった。僕は完全に催眠術をかけられてて、それから、どうやって振る舞えばいいのかって心配と自意識の塊になったよ。君には分からないだろうけど。」
M「私たちが解こうとしている質問をするわ。私たちは誰かと一緒の方がもっと楽しめるのかしら?あなたはどう?」
フ「あの場の唯一の人間になれたことは幸せだったし感謝してる。あの時間は、誰かと一緒にいたからと言ってあれ以上のものにはならなかっただろう。でも、一歩劇場を出たら、全てが混乱して、めまいがして、もし誰かと一緒にいたら、それはもっと激しかったかもしれない。その点では、引き裂かれてるんだ。あの出来事は信じられないぐらい強烈だった。でも永遠に過ぎ去ったあとは、このことを共有する誰かがいないのは寂しく思う。」
エンディング
Philadelphia,
PennsylvaniaAcademy Of Music
November 23, 2014
1. Heartbeat (song by Buddy Holly)
2. Blueberry Hill (song by Fats Domino)
3. You're Too Late (song by Lefty Frizzell and Hank Williams)
4. Key To The Highway (song by Charles Segar)
3曲目はウィキングソンのコメントからも当初の発表が推測だったことが分かり、実際に演奏されていたのはレフティ・フリーゼルとハンク・ウィリアムスのYou're Too Late だと判明した。
不明だとされていた4曲目はブルーズ・ピアニスト、チャールズ・シーガルのKey To The Highway だった。
You're Too Late
You're Too Late はレフティ・フリーゼルとハンク・ウィリアムスが共同制作した1950年代の曲。当時、ハンク・ウィリアムズは別の契約で名前が使えなかったらしく、今でもレフティ・フリーゼルの曲として存在する。画像はハンク・ウィリアムスだが、歌ってるのはレフティ・フリーゼルだろう。
レフティ・フリーゼルは14歳の頃クラスメートを左手で殴り倒し「レフティ(左利き)」のあだ名を得たらしいが、実際は右利きなようだ。
レフティ・フリーゼルは14歳の頃クラスメートを左手で殴り倒し「レフティ(左利き)」のあだ名を得たらしいが、実際は右利きなようだ。
Key To The Highway
チャーリー・シーガルは1930〜1940年頃のブルーズ・ピアニスト。シーガルの名の元で録音された8曲のうち最も有名な曲が Key To The Highway(1940) で今はブルーズのスタンダードナンバーである。
これ以上の情報は手に入れられず…。不勉強でお恥ずかしい。
「エクスペリメント・エンサム」では、嬉々としてボブライブに臨んだウィキングソンの「やっぱり誰かとしゃべれないと寂しい」ってオチが正直すぎて笑えた。一度見たときはピンとこなかったけど、二週間も一人で抱えてたら、やっぱりそう思うようになるよな。
この実験もユニークで面白いと思うが、今回の実験はこれまでの実験とは趣旨が違いすぎる気がするし(あの女の人もそう言ってるし)、無理やり企画された感じがかなりするんだよね。
なぜボブがこの企画に協力したのかは憶測の域を出ないが、たぶん自身の宣伝を兼ねてるんだろうと思う。でないとYouTubeで流す意味が分からないし。
でも、その宣伝のために歌う曲が、来年出る新譜とは関係ないものばかりなのがボブ流。
個人的には You're Too Late がとても好き。どこかでもっと聴けたらいいんだけど…。
そしていつかこういう古いスタンダードのカバー集が出たら嬉しい。
ブートレグはよ。
この動画が公開される数日前には、ボブの新譜「Shadows In The Night」のリリースが来年2月3日(日本では4日?)と発表された。
全てシナトラのカバーで、オーバダブなしの一発録音らしい。
オーバーダブで不必要に音を分厚くしない、生のままのバンドの音が聴けると思うと、古臭いのが好きな私はワクワクする。同時にボブらしさも感じるし、最近の音楽シーンからすると珍しくもあるんじゃないかな。
いろんな意味で話題になること間違い無し!というか、なってほしい。
そしてこの発表と同時にボブのありがたいお言葉が下界の我々にも届いた。
「このアルバムを作ったのは本当に光栄なことだった。こういうものをずっとやりたいと思っていたが、30人編成の複雑なアレンジを5人編成のバンドで行なう勇気を持つことがなかなかできなかった。今作の演奏はすべてそれが鍵になっている。私たちはこれらの曲をこれ以上ないくらい熟知していたから、すべて一発録りで録音した。曲によっては2テイクくらいはかかったが、オーバーダブも施していなければヴォーカル・ブースもヘッドホンも使わず、別々のトラッキングも行なわなかった。そして何よりも、録音されたままの形でミキシングを行なった。自分ではこれらの曲はどう見てもカヴァーとは思っていない。もう十分カヴァーされてきた曲たちだから。というか、カヴァーされすぎて本質が埋もれてしまった。私とバンド・メンバーがやっているのは、基本的にそのカヴァーを外す作業だ。本質を墓場から掘り起こして、新たな命を吹き込んだのだ」
カヴァーなんかぢゃない。
おれらが蘇らせたんだ。もうおれらのもんなんだ。
と言っておられます。 ありがたや、ありがたや。
「Shadows In The Night」トラックリスト
1. I'm A Fool To Want You
2. The Night We Called It A Day
3. Stay With Me
4. Autumn Leaves
5. Why Try to Change Me Now
6. Some Enchanted Evening
7. Full Moon And Empty Arms
8. Where Are You?
9. What'll I Do
10. That Lucky Old Sun
《「今日のボブ」の中の関連記事》
・寂しい私(Full Moon And Empty Arms)
・Stay With Me
・フレドリク・ウィキングソンという男①
・フレドリク・ウィキングソンという男②
これ以上の情報は手に入れられず…。不勉強でお恥ずかしい。
◇◇◇
「エクスペリメント・エンサム」では、嬉々としてボブライブに臨んだウィキングソンの「やっぱり誰かとしゃべれないと寂しい」ってオチが正直すぎて笑えた。一度見たときはピンとこなかったけど、二週間も一人で抱えてたら、やっぱりそう思うようになるよな。
この実験もユニークで面白いと思うが、今回の実験はこれまでの実験とは趣旨が違いすぎる気がするし(あの女の人もそう言ってるし)、無理やり企画された感じがかなりするんだよね。
なぜボブがこの企画に協力したのかは憶測の域を出ないが、たぶん自身の宣伝を兼ねてるんだろうと思う。でないとYouTubeで流す意味が分からないし。
でも、その宣伝のために歌う曲が、来年出る新譜とは関係ないものばかりなのがボブ流。
個人的には You're Too Late がとても好き。どこかでもっと聴けたらいいんだけど…。
そしていつかこういう古いスタンダードのカバー集が出たら嬉しい。
ブートレグはよ。
この動画が公開される数日前には、ボブの新譜「Shadows In The Night」のリリースが来年2月3日(日本では4日?)と発表された。
全てシナトラのカバーで、オーバダブなしの一発録音らしい。
オーバーダブで不必要に音を分厚くしない、生のままのバンドの音が聴けると思うと、古臭いのが好きな私はワクワクする。同時にボブらしさも感じるし、最近の音楽シーンからすると珍しくもあるんじゃないかな。
いろんな意味で話題になること間違い無し!というか、なってほしい。
そしてこの発表と同時にボブのありがたいお言葉が下界の我々にも届いた。
「このアルバムを作ったのは本当に光栄なことだった。こういうものをずっとやりたいと思っていたが、30人編成の複雑なアレンジを5人編成のバンドで行なう勇気を持つことがなかなかできなかった。今作の演奏はすべてそれが鍵になっている。私たちはこれらの曲をこれ以上ないくらい熟知していたから、すべて一発録りで録音した。曲によっては2テイクくらいはかかったが、オーバーダブも施していなければヴォーカル・ブースもヘッドホンも使わず、別々のトラッキングも行なわなかった。そして何よりも、録音されたままの形でミキシングを行なった。自分ではこれらの曲はどう見てもカヴァーとは思っていない。もう十分カヴァーされてきた曲たちだから。というか、カヴァーされすぎて本質が埋もれてしまった。私とバンド・メンバーがやっているのは、基本的にそのカヴァーを外す作業だ。本質を墓場から掘り起こして、新たな命を吹き込んだのだ」
カヴァーなんかぢゃない。
おれらが蘇らせたんだ。もうおれらのもんなんだ。
と言っておられます。 ありがたや、ありがたや。
「Shadows In The Night」トラックリスト
1. I'm A Fool To Want You
2. The Night We Called It A Day
3. Stay With Me
4. Autumn Leaves
5. Why Try to Change Me Now
6. Some Enchanted Evening
7. Full Moon And Empty Arms
8. Where Are You?
9. What'll I Do
10. That Lucky Old Sun
《「今日のボブ」の中の関連記事》
・寂しい私(Full Moon And Empty Arms)
・Stay With Me
・フレドリク・ウィキングソンという男①
・フレドリク・ウィキングソンという男②
ウィキングソンの実験も興味深いものですが、そんなことより、ディラン御大の姿がここまではっきりと観れるなんて感激以外の何物でもありません!ディラン様の気まぐれに感謝、そして、誰かがスコセッシを説得して、ニューヨークの劇場でLIVEレコーディングをして、「シャイン・ア・ライト」のボブ・バンド版を作るべきじゃないでしょうか!
返信削除今回は、和訳をつけてくださって感謝です。日本でどこまで情報が出ているかわかりませんが、ここまでウィキングソンにせまったブログもなかなかないのでは笑
いや〜、新作アルバムたのしみですね。あの謙虚なボブが、めずらしくデカイ口(失礼!)を叩いているというだけで期待大ですね。来年もまたボブ・イヤーになりそうです!
Singular Taroさん、再来訪ありがとうございます!
削除動くボブをライブ会場以外でゆっくり見れるのは本当に嬉しいですよね!
ドキュメンタリーも、撮るならやっぱりスコセッシが良いと私も思います。『ノーディレクションホーム』に満足せず、音楽ドキュメント最後の大仕事としてスコセッシが立ち上がってくれたら最高ですが。
訳文は、実は一部ごまかしたところもあるのですが、話は分かるようになってるかと…。
ここまでやると全く知らないはずのこのスウェーデンのタレントさんに親近感が沸いてくれるから不思議です。笑
新譜は本当に楽しみ。来年もボブから目が離せません!!!